財産分与」と「慰謝料」の違いとは?
財産分与と慰謝料は、どちらも離婚に関わるお金の問題です。
慰謝料は、浮気や不倫行為で離婚原因をつくったほうが相手に対して損害賠償として支払うお金なので、「性格の不一致」「価値観の違い」などという、どちらかが一方的に悪いわけではない場合は慰謝料の請求は認められません。
それに対して、財産分与は夫婦が結婚している期間にふたりが築いた共有財産を清算することで、浮気や不倫行為などの離婚原因に関係なくおこなわれます。
したがって、離婚原因をつくったほうであってもお金を受け取る権利があります。
夫婦の「共有財産」とは、結婚生活に必要な家財道具をはじめ、土地・建物などの不動産、車、預貯金、有価証券などが該当します。また、所有名義が夫婦のどちらかになっていても、共有財産とみなされます。
財産分与は4つに分けて考えられます
■精算的財産分与……婚姻中の共有財産の精算のこと。将来、受け取る退職金も財産分与の対象になる。結婚前からの預貯金、親から相続した財産、贈与された財産は対象外。
■扶養的財産分与……経済的に弱い立場の配偶者に対する自立援助のこと。基本的には、精算的財産分与や慰謝料に対して請求や期待ができない場合、できたとしてもそれだけでは生活できない場合に、これを補う目的で請求するもの。
■慰謝料的財産分与……離婚による慰謝料のこと。財産分与に慰謝料が含まれ、精神的な損害に対して十分に補填されている場合は、別途、慰謝料を請求することはできない。
■過去の婚姻費用の精算……婚姻費用の分担のこと。多くは婚姻中に片付くものだが、どちらかが未払いの場合、財産分与のなかで考慮される場合もある。